覚悟よりも動機
今日は寒かった。本当に寒かった。足先はこちこちのひえひえ。痛いくらい。山から吹き降ろす風は少しだけ出ている鼻っ柱にビュンビュンと吹いてきて、お鼻がもげるんじゃないかってくらいに吹き付けてきました。風って本当に人間の体温をうまく奪うようにできていますよね。冬に吹く風はもうやめてくれって言うくらいに辛いものだけれども。夏の暑い日差しの中で時折吹く風は恵みのように感じ、畑で汗をす〜っとひかせてくれる。季節関わらず、そよ風も強風も同じように通り過ぎていくけれど。その時々に感じる印象はだいぶ違うものですね。
今年は剪定の作業を師匠と二人で行っています。昨年の末から始まった作業は来週の半ばくらいで全体の畑の半分を終えることができそうです。剪定も四年目というところ。毎年やっているからこそ、成長している部分もあってバシバシ全体の枝の配置を考えながら切っていくことができます。それはそれで嬉しいことだけれど、どうしても好調に枝を切っていくと指に負担がかかってくるもので。調子にのってバシバシリズムよく切っていくと時折感じる「ビリビリッ」とした痛み。おうちに帰って、冷たい水でお米を研いでいるとじんじんしてたまりません。俗にいう商業病ってやつ。うまく付き合っていかねば。
そうそう。最近は新たな仲間をということで。師匠の隣にちょこんと座って。面接の席に同席することが何度か。各地域によって状況は様々かと思いますが。共通しているのはなかなか人が集まらないということでしょうか。いまは売り手市場で色々言われているけれど、景気は上向きでしょうからわざわざ農業をって言う人も見つかり辛いのかもしれません。
さて、何回か面接の場に座っていると。なんとなくですが「農業には覚悟が必要だ」と盛んにイベントやら、フェアやら、行政やら。とりあえず何度か問いかけられる意味がなんとなくわかったきました。結局何かしらの「動機」が伝わってこないと、一緒にお仕事をしようってできないなぁってことです。どんな職種も共通だと思うけれど。
農業って見た目ほど簡単じゃなくって。繁忙期にはおやすみがない時もありますし。肉体的にも結構ハードなこともあります。それでもなんで自分はぶどうに関わっているれど、楽しいんですよね単純に。好きなことを仕事にできているので続けられるんです。というか毎日の生活に入り込んでいるので続けているという意識もだいぶなくなってきている感じ。数十キロのコンテナを何回も往復して運ぶのは結構力がいるけれど。それが嫌でやめようとは思わないし。雨がカッパの中に入り込んで気持ち悪い。けれどやめようとは思わない。
「なんで◯◯を栽培したいのですか」「どうして◯◯の仕事をやろうと思ったのですか」って結構重要な問いかけであって。私からすると「なんでぶどうなんですか」って。やっぱり動機ってとっても大事。
地元の方であれば・・・
- 周囲が果樹の畑に囲まれているしやってみたい。
- 親が農業をやっていて
- 周りの耕作放棄地をなんとかしたい。
なんてそんな動機もあるかもしれません。
動機ってなんでもいいとは思うのだけれど。面接の場で動機を問いかけしてみると。ぼんやりとした動機すら持っていない方が意外に多くてびっくりしたんですよね。
- 「生活のため」っていわれても、他にもっと割のよい仕事もあるわけですし。
- 「大変でも大丈夫です」「力仕事も大丈夫です」「・・・も大丈夫です」って全部大丈夫って言われてしまうと。本当に大丈夫かしらって。尚且つ結局受け身であって、ただ耐えられるっことなので。自ら判断できるのだろうか?
なんか色々偉そうに言っているけれど。自分はどうだったか。思い返してみると農業をやりたいというのはあったらしい。専門の友達には「農業やりたいんだよね〜」ってしきりに漏らしていたようですし。社会人になってからは「俺は自分でワインをつくるよ」って、いつも酔っ払いながらもっともっと偉そうに周囲に言いふらしていたようですし。経緯はどうであれ自分にはぼんやりでも動機があったことが幸いして。今の状況にいるようです。
そのぼんやりとしていた動機でも。なんだかんだで想像していたことが現実になってきているような気がします。自分が必要な時に機会が訪れている気がしますし。なんどか壁みたいなものやってくる。そしてその壁も結構高いやつが急にそびえ立ったりする。私は優柔不断で頭がよくないので。どうすんだよこれって、もぞもぞしていると「ラッキー!こっちからいけるじゃん!」って抜け道を発見したりもしますから。
今まではなんだか自分目線でしかなかったけれど。面接の場に一緒に座っているだけで。なんだか自分って意外と動機はある方だったかも?って思えてきて。ほんのちょっぴりだけど。勝手にそう思い込んで変な自信が湧いてきちゃったぞ。どうしようって話でした。
防寒対策はしっかり!
まだまだ寒気が流れ込んできているようで。冷え性な私には辛い時期。指も痛いし、足も寒いよりか痛いし。お腹冷えるし。お鼻がかぴかぴになるけれど。じっと畑で枝をもくもくと剪定するのも幸せなことですよね。今季のぶどうがたわわに実っているところを想像しながら明日以降も畑でいつもどうりのんびり作業をしたいと思います。