ささブロ

鍬を置いて、山を降りた人

嬉しいね。今日はいい日だね。

日曜日。ありがたいことに色々と頼まれごとがあって。調べ物をするため。たまには静かな環境でゆったりしてこよう。そんな気持ちで図書館にいってきました。正直前職でデザイナーをしていたとはいえ、普段畑とお家を行ったり来たりしているだけの人間はどうもこうも世の中の流れから離れてしまいますし、家にいればネットの情報からしかヒントを得られませんから、どうしても偏ったものになってしまいます。

 

久々の図書館はなんとも言えない本の香り?なのか、なんとも落ち着く感じ。なによりも山梨の県立図書館ってとっても綺麗で立派で。行きたくなる図書館と言うのでしょうか。そんな具合なので、デザイン関係の著書をみては、ラフを描いて。飽きてきたら果樹栽培、ワインとパラパラ読んで、また戻る・・・。と、お昼前からいましたが、あっと今に夕方になってました。恐るべし。その後も集中力が続いていたので、お家でも継続してデスクに向かって。夜まで作業をして、そのまま力尽きて寝てしまいました。

 

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本の香りもいいけど、コーヒーの薫りもまたいい。 

 

 

成果はそこまでなかったですけど、ある意味、ずっと屋内でこもりっきりで煮詰まってしまったので一転して、デスクを離れて。今日は朝から野菜畑で農作業をしてきました。一番の目的は水やりなのですが、そのほかにも雑草を抜いたり、土寄せしたり、支柱にくくりつけたり、虫取りしたりと。そんなことをしていたらいつのまにかお昼のチャイムが鳴り始めまして、結局13時前までいたので、4時間くらいあっという間に経っていたようです。これは仕事ではなくて自分の食べる用の野菜を育てているだけなので、ストレスもないし。のんびりあっという間というところでしょうか。

 

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小松菜は成長が早いね。

 

 

そんな風に月曜の昼間から、私みたいな若いにいちゃんが、ちまちまとしゃがんで雑草を抜いていると、そりゃあ目立つようでして。近くて同じく農作業をしているおじいちゃんや、近くで果樹栽培しているおばあちゃんが次々と話しかけてくれるんですよね。なんと今日は6人も!ご年配の方と話をするのが苦手な方も周囲には多いようですけど、ありがたいことに大のおばあちゃん子だったので、話を聞いたり、振ったりするのも慣れているし、ちょっとした冗談言ったりするのもこなれたものだったりします。

 

 

 

帰り間際にあるおばあちゃんが話しかけてくれたんです。なんと82歳!ぜんぜんそんな風には見えない。こんにちわ〜から始まって、終わってみたら30分以上も話してました。初めてあった見ず知らずの若造に色々なお話をしてくれました。どうやら私の野菜畑から少し歩いた先で巨峰をほそぼそと作っているようで、午前中の仕事を終えて、おうちへ帰るところに私を見かけたそうです。

 

 

 

実はこの周囲に見える畑はうちがずっとやっていたんだよ。もう売ってしまったんだけどね。息子がいるけど、農業はやりたがらなくてねぇ。会社勤めだから全然なんだ。

 

土地を売ってしまったから、桃はもう作ってないけどね、ぶどうはずっとやってきたんだよ。さすがにカラダがえらいから畑に3本だけぶどうを残して、それだけは毎日少しずつ作業をしてるんだよ。だからこうやって外にいる方が元気でいられるんだよ。日に当たってる方が調子がいいみたいでね。

 

これでもね数十年やっているからベテランだよ!今はちょっとしかやってないけどね。まだまだいいものを作れるんだ。

 

最近はぼけちゃってね。毎朝起きたらね頭を叩いたりもんだりするんだ。そうするとね、調子がいいみたいなんだよ。

 

私:大丈夫!大丈夫!そうやって叩いている時点で全然ボケてないよ。そんなこと言わなければ全然80歳超えてるようには見えないって。元気元気!

 

お兄ちゃんは口が上手いね〜 (笑

 

 

なんて、たわいもない、お話の一部ですけど。なんとも笑顔が素敵なおばあちゃん。初めて会った人には色々と聞いてしまう癖があるので、私も色々と尋ねてしまったのですが、こんな風に快く話してくれました。

 

 

お話がひと段落して・・・

 

ごめんねぇ。いきなり話を初めてね。こんなに付き合っていただいて。では頑張ってね。

 

そうして背を向けて歩き出し、しばらくして一言。

 

 

いやぁ、若い人に話を聞いてもらって。たくさん元気をもらったよ。嬉しいね。今日はいい日だね。良かった良かった。

 

 

と笑いながら、ゆっくりと家の方に向かって歩いて行きました。

 

 

以前に似たようなことがあったとき、いつもお世話になっている方に話したことがあって。そのときに言われた言葉を思い出しました。

 

 

「いいねぇ◯◯君。まちおこしだとかさ。最近は目立ってやっているけどね。そうやって気張ってやっている奴よりも、よっぽど◯◯君のほうがまちのためになっているし、皆のためになっていると思うよ。集まらないとできないまちおこしとは訳が違うよ。」

 

 

 

そのときは「いやいや、褒めていただいているようで、暗に何か指摘されているような気がするな・・・」と、背筋がピンと伸びたことを覚えておりますが(まだまだです私

 

 

農業従事者、後継者の不足の話を聞いて久しいですが、テレビやネット、人づてに聞いた話よりも、そこにはリアルがあるし。外で勝手にガヤガヤやっているのとは違うものがあります。

 

 

 

何かしたいんですけど。何も私はできることがなくて。

 

自分も何かしたくて来ました。

 

 

 

そんな方にときどき会うときがあります。そういう気持ちでわざわざ足を運んで、時間を使って、ボランティアなどに参加されることもとても素晴らしいことだと思います。私なんか同じ歳のとき、毎日夜遅くまで街で呑んだくれてたし・・・ が、普段生活している周辺で、できることってたくさんあるような気がします。それがどんなに小さくて、目立たなくて、なんともないようなことでも。

 

 

と、いつもの流れで、なんとなくわかったようなことを書いていますが、話しかけてくれたので話をしている。ただそれだけなのに、目の前のおばあちゃんに気持ちよく帰ってもらえたことはなんだか、こちらまで気分がよくなってしまって。なんとも幸せな気分になりました。

 

私がおばあちゃん子だったことがこんなところで生きているようで。なんだか、おばあちゃんさまさまだなぁと思いながら、のんびりと空を見ながらお家に帰りました。