ささブロ

鍬を置いて、山を降りた人

いいから、いいから蒔いてみな

ちょうどすももの受粉待ちのタイミングで、しばしゆったりした日が続いています。おうちでのんびり本を読むのも楽しいけれど。お外が晴れていれば話は別。こんな時はここぞとばかり、自分の野菜畑に走っていく。はじめはいつも決まった時間に畑にいるご年配の方々をみて「物好きだよなぁ」「そんなに楽しいのかな」って遠目でみていた私も、いつのまにか見られる側にいるようで、誰に言われることもなく、好きな時間に、好みの野菜を植えて、好きなように土をいじっています。

 

 

畑を借りてからもうすぐ一年。

 

ある時「ベランダでハーブとか簡単な野菜を育てているのだけど、楽しいものですね」

 

と、たまたま話をしていたら

 

「なんだそれ、ベランダでやらんで畑でやれし」

 

と言われ

 

「いやぁ、一度も畑で作ったことがないから無理じゃないかなぁ〜」

 

というか言わないかのタイミングで

 

「いいから今日とりあえず来てみろし」

 

と強めの甲州弁でいわれるがまま畑に連れて行かれ、とりあえずこれを植えてみろ。肥料は勝手に使っていいぞ。いくつか野菜の種を渡されて植えたのです。それがきっかけ。ほんとうにありがたいことですね。とてもよくしてもらっていますけど、たまたまぶどうの仕事を手伝いに来ていて、3回くらい顔を合わしていただけなのにこの展開でしたから。よほどベランダでハーブを作っているのが楽しそうに見えたのでしょうかw わかりませぬ。

 

 

一年も経てばなんとなく要領がよくなり、頭で考えることなくもくもくと作業をします。それは今日も同じこと。畑について周囲を見渡すと、多くの雑草が生えています。いやぁ、こりゃあ大変だなぁと心のなかで思いながら、ひたすら草削りで地面を引っかいたり、手で引っ張って抜いていく。これだけで30〜40分くらいでしょうか。感覚としては意外とあっという間。その後、近くの水場からジョウロに水を満たして往復作業が始まります。水をあげながら作物の状態をみるのですが、春の兆しが見え始めてきたこともあり、一部の作物にアブラムシさんがたくさんつくようになりました。特に薬を撒いているわけではないので、ジョウロの水をかけながら、指を使ってアブラムシを落としていきます。そうして往復すること10数回くらい、その後ちょっとだけ土を耕起したりして今日はおしまい。10坪くらいの畑ですが2時間ちょっとくらいかかりました。

 

 

もくもくと同じ作業を続けているだけですが、やればやるほどに多くのことに気付かされます。自然の摂理を実感として理解していくとも言えるかもしれません。

 

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 数日前に蒔いた、小松菜の双葉

 

種をまくこと。物事の始まりはすべてここから始まります。たぶんこれが一番自然の摂理の中でわかりやすいでしょうか。しばしば例えとして、人間の世界に当てはめることがあるようです。

 

「種をまかなければ実を刈り取ることができない」

 

 

人間の世界では実というのは結果。また、種を蒔くだけでは実を得ることはできません。定期的に水をあげなければ大きく育つことはありませんし、今日の例であげれば害虫が容赦なくやってくるし、雑草は抜いても抜いてもあきることなく生えてきますからら、手間がとてもかかります。こうしてみると面倒臭いように映るかもしれませんね。種をまくといろいろな面倒がついてまわる。新しく物事を始めるとなにかしら問題が起きたりしてスムーズに進まないのも似ているようです。

 

 

面倒に巻き込まれるのはいやだから、新しいことを始められない。私もそうでした。だって、ぶどう栽培をしているだけでも、年に数十回も草刈りをするわけですから、大変さを知っています。そんなに面倒を見ることができないし、大変そうだよなぁって。

 

 

 

小さいことをから始めてみよう。これは新しいことを始められない人への誘い水として、ハードルを低くする。という一端もありそうですが、その利点はそこだけではない気がします。小さいことでも始めてみると、気になる、面倒を見たくなる、手間をかけたくなってくる。小さく始めたつもりがどんどん大きくなっていく。この部分はやる前では想像できない部分かもしれません。よく質問で「こんなに大変なのになんで続けているのですか」という質問がありますが、その答えを紐解いて共通項を探していくと、その多くは「想定していなかった、予期せぬ良いことがあった」ということもありそうです。

 

 

「いやいや、小さく初めるって、三日坊主なので続けられるかなぁ」

 

って思う方もいるかもですが、三日坊主をしっかり?続ければ一年で120日は動いていることになるのですから。これも継続なんだと思います(もちろんある著者さんの受け売りです)

 

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アブラムシいっぱい。てんとう虫さんからみたら、ごちそうだらけよね

 

さて、自分が食べる野菜を気楽に作っているだけなのですが、去年の経験がいきているようで、気楽の中にも真剣さが生まれてきてしまって困っています(笑 やっぱりね、トマトの苗を植えたのに一つも実を収穫できなかったことが尾を引いていて忘れられないというか、トラウマに近くてですね。二度と繰り返さないぞ!となるともう真剣になってしまいます。先日蒔いた種「ビーツ」「にんじん」「小松菜」もようやく発芽を迎えました。それまではただ土に水をかけているので味気ないですが、芽が顔を出すと同じ水やりでも楽しくなるものですよ。

 

 

何かがはじまりそうな 「種」 蒔いてみませんか

 

 

 

 

私はこんどは夏野菜。とりあえず「きゅうり」を植えてみようと思います。