ささブロ

鍬を置いて、山を降りた人

"あっという間" と "死" の話

ずっと山陰の下で農作業をしていると、あらゆる先から冷たさが襲ってきます。最終的には冷たさから痛みに、痛みから無感覚に移っていきます。それが冬の農作業の厳しさというもの。だからこそ、お昼前になって降り注ぐ日差しの暖かさと、ありがたさを感じるのです。「こうもちがうものか」と。寒い寒いといえる季節があるから、春も際立つし、夏と冬だったらどちらが大変?って聞けるし、四季のある日本って素晴らしいなぁとまで思えるのかもしれません。

 

 

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 冬の柿畑は物寂しい。

 

 

いつのまにか週末になっているなぁと、家の玄関のドアを開けて荷物を降ろして。とりあえず、Macの電源を入れて音楽を流しながら、メッセをチェックしながら(たまにしかきてないけどw)フィードをダラダラと流しながらみていたら、たまたまなのか数人の方が似たようなことを書いています。「あっという間に1月も折り返し地点ですね」と。そう言われてみればとカレンダーに目をやると「ああ、ほんとだ」って。

 

 

十代の頃。親戚のお兄さんたちがこう言うんです。「二十歳なんてすぐだよ。学生時代はあっと今に過ぎてしまうから、もっと大切にした方がいいぞ」「もっと楽しまなきゃ」って。当時はよくわかっていなくて「なにを言っているんだろう」って。もしかしたら「面倒臭いことをいっているなぁ」なんてことも思っていたのかもしれません。

 

 

二十代半ばを過ぎると。会社の先輩や、知り合った年配の方がこう言うんです。「二十代は一番楽しい時だよ」「本当にあっという間だぞ〜」って脅しをかけるようにいうんです。いいなぁ。「若いなぁって思われるのも今のうちなのか」って。そう言われるとなんだかそんな感じもするなぁとうすうす感じながらも、三十代ってどんな感じなんだろう。想像できないよなぁと思っていて。「三十を越えると一気に転職しずらいぞ」なんてことを当時お話しされている方もいましたっけ。

 

 

三十代にのると。やっぱり似たようなことを言われます。「こっから先は本当に早いよ」「あっという間って言うけどさ。本当にあっという間だから」ってさらに脅されるようにいわれるんです。そうして自分より若い周囲の人には「もうおじさんだよ」っていうのだけど「ぜんぜんそんなことないですよ○○さん」って言われる一方。先輩や、仕事仲間で私より年齢の上の方からは「まだまだ若いよ、ぜんぜん大丈夫だよ」って。

 

 

いつの時代でも自分より年齢を重ねている人からみたら、私たちの通ってきた「寿命」の道を歩いてきたわけで、今私が歩いている場所はいつのまにか通り過ぎた過去の場所なんでしょうし、私もいつか同じことを言うかもしれないし、言わないかもしれません。

 

 

そうして年齢を重ねていくというのは、別の言い方をすれば死への道へ進んでいるわけです。最近はやけに意識するようになりました。俗に言う死生観ってやつでしょうか。

 

 

初めて死を意識した時。多分学生の時。何かのドラマなのか、映画を観た後に感化されて「死」とはなんだろうって考えたのでしょうか。その日の夜はなんだか眠れなかったのを思い出します。「自分が死んだらどうなるんだろう」「意識はあるのかな」「苦しいのか、そもそも肉体がなくなってしまうのだから無になってしまうか」もう考えれば考えるだけ深みにはまって怖さだけが襲ってきて。とんでもなく次の日は寝坊して、ダッシュで学校に向かっていたことを思い出しました。

 

 

と、だらだらと書いてしまいましたけど。死と向き合うときってとても頭がクリアになるというか、本当に必要なものだけを選ぶことが容易になります。余計なことを考えなくなります。もしかしたらそれは今現在困難と感じていることも大した問題に感じなくなるかもしれません。ある本にはこんなことが書いてありました。

 

 

所有していたものを持っていくことはできない。

全て置いていかなければならない。

 

 

 

ある本の、あるお金持ちの晩年についての語っているシーン(だったかしら)この言葉を目してからは更に所有欲が更にもう一段階下がったのを覚えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと一週間しか生きられないとしたら」

 

あなたは何をしますか。(ありがちな質問だったでしょうか)

 

 

 

 

今週の半ば。祖母が亡くなってから「あっという間」に一年が経ってしまいました。いろいろなことを思い出したり、考えたり。たまにはいいかと思って、ゆったり一人でお酒を傾けてぼーっとしていたり。物思いにふけってみたり。そうしていたら今週は毎日あっという間に時間が過ぎてしまって、家のことを何もしないままに。夜中になっていることがしばしば。もちろん今日も例外でなくいまの時間まできてしまいました。これから「何かしよう!」って気持ちにはなりそうにないので、今日はもうそのまま床に入るとします。